皮質運動野と観察した他者の運動の理解

イメージトレーニングのように、特定の運動行為を行っている状況を想像した場合や、他者がその行為を行っているところを観測した場合、顕在的な行為を意図していなくとも、運動前野と頭頂葉領域が活性化することがあります。

運動イメージ

その第1の条件は、運動イメージで、ヒトを対象とした脳機能画像法により立証されてきました。被験者に「自分がある特定の行為を行っている状況を想像してください」と支持すると、顕在的な行為が起こらないにも関わらず、運動前野と頭頂葉、そして一次運動野さえもが活性化されました。
しかし、「自分がある行為を行っている写真をみている状況を想像してください」と指示すると、運動システムは弱く活性化するに留まり、視覚中枢の活性化が主となります。

運動イメージは、運動の遂行とは分離した、行為の準備として脳に解釈されます。
皮質運動回路が活性化される第2の条件は、自らの運動能力の範囲内にある運動行為を、他者が行っているところを観測する場合です。
他者が何を、なぜ行っているのかを認識し、理解する能力は、行動や社会的相互行為の制御に大きく依存します。
当然、そうした理解は、刺激の視覚的分析と、それに続く推論によって得られうるものとなります。

ミラーニューロンは

また、他者の行為について別の解釈もあります。それは、「直接対応付け仮説」です。

その仮説に従えば、他者の行為を観測すると、観測者には、類似の運動行為をひきおこす運動関連回路が活性化します。
この運動関連回路の共感的な活性化は、観測された行為と、対応する自らの行為の、性質、動機、帰結についての、観測者の記憶にある知識を結びつけます。
直接対応付け仮説を支持する有力な証拠は、Rizzolattiらが報告しています。

Rizzolattiらは、腹側運動前皮質のF5野において、驚くべきニューロン群を見つけました。
これらのいわゆるミラーニューロンは、サルが運動行為を行うとき、および別のサルが類似の行為を遂行している場面を観測するときの、双方において活動します。ミラーニューロンは、サルが単に物体を観測する場合や、対象物なしに手や腕を使って動作を模倣している場面を観測した場合に使われません。対して、われわれは自らの運動行為の原因と結果を理解しています。

したがって、「直接対応付け仮説」は、他者の行為を観測した時のミラーニューロンの活動は、観測された行為のより高次な理解へと複雑な視覚入力を変換するメカニズムを提供していると主張しています。

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