Craikの内部モデル理論と順モデル・逆モデル

身体各肢の長さは個体の中である程度決まっています。

関節を動かす間に腕が伸びたり縮んだりしなければ、腕の関節角度と手の空間内での位置との間には数学的な関係が成立します。

この関係が神経系にも表現されており、関節角度と腕の長さがわかっていれば、神経系は手の位置を推定することができます。

こうしたパラメータを計算するシステムは内部モデルによるものです。

内部モデルとは、イギリスの哲学者Kenneth Craikが提唱した概念に基づきます。

Craikの1943年の著書『The Nature of Explanation』において、「頭の中に、現実と、自身がとりうる行動に関する”小さなスケールモデル”があるなら、さまざな選択肢を試すことができ、どの選択肢が最善であるか結論づけ、過去の事象に関する知識を利用して現在と未来の事象に事前に対処し、直面する問題に対して、より安全に、より完全に、より巧みに反応することができる」と述べています。

つまり、実際に行動しなくても、行動の結果を考えることができるということです。

このため、神経系は制御と予測を必要としますが、それを担当する内部モデルが、現在の理論では順モデルと逆モデルとされており、順モデルは運動指令の結果どのような変化が起こるか予測し、逆モデルは目標とする感覚を得るための運動を生成するのに必要な運動指令を決定します。

こうした各モデルの構造とパラメータの値が正しければ、順モデルの出力と逆モデルへの入力は等しくなり、誤差の少ない運動が実際に表出されることになります。

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