腹横筋の機能解剖
腹横筋は下位6肋骨を下に引き、腹圧を高めます。
腹斜筋とともに腹圧を高め腹腔の容積を小さくし、腹腔および骨盤内臓を圧迫します。
また7〜12肋骨内面からの線維が横隔膜を押し上げて呼気を行います。
腹部を硬くし、腹部内臓を圧迫し、強制呼気で作用すると言われています。
呼吸運動における腹筋群の活動の研究では、腹横筋は主要な呼気筋であるとされています。
呼気相に動員される腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の電気的活動は経鼻持続陽圧が高いほど高く、また仰臥位よりも立位で高くなります。
腹横筋は立位安静換気でも活動し、経鼻持続陽圧が高くなるとすべての腹筋群が反応してきます。
また腹横筋腱膜からの強い腱膜線維は、腹横筋筋膜に散在して入り込むことで腹圧に対して強い抵抗力をもち、ヘルニアの発生を防いでいます。
内腹斜筋、腹横筋腱膜の下縁は内上方に凸の弧状をなし、腹圧上昇時には筋肉の収縮により直線化し下降して内鼠径ヘルニアの発生を防いでいます。
腹横筋は腹斜筋とともに胸腰筋膜メカニズムや腹腔内圧の上昇に重要です。
最大随意伸展時、腹横筋は最大に近い活動を示します。
このとき内外腹斜筋の活動は減少します。
バルサルバ法を加えると、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋は体幹屈曲で増加し、伸展で減少しましたが、腹横筋は屈曲伸展を通じて活動し、腹腔内圧の調整に確実に関わっています。
立位での体幹回旋は腹斜筋群が主動となり、回旋方向と反対側の腹横筋の活動が起こることが報告されています。
また30°の範囲で体幹の屈曲-伸展を繰り返した際に、腹横筋は伸展時には腹直筋や内腹斜筋、外腹斜筋活動より大きく活動しました。
体幹を安定化し、左右の腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋の不均衡な活動を補う作用を有します。
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