ダイナミックタッチについて考える。

アメリカの生態心理学者ギブソンは、思い通りに手を動かして、対象に「能動的」に触れることをアクティブタッチと呼びました。

例えば、真っ暗闇のなか適当な長さの棒を探すという場面を想像してみましょう。

棒が見えればその棒がどれくらいの長さなのかすぐ分かりますが、棒が見えなければ手で触れ、長さを知るしかありません。

このとき「能動的である」ことが重要で、もし手を固定してそこに棒をあてられても、棒の長さははっきりと知覚されません。

さて、この暗闇の中、棒の長さを知覚しようとするとき、他にどんな方法があるでしょうか。

例えば、棒を振ってみてはどうでしょう。

人間は棒をもつと何となく振ってしまいがちですが、その場面を思い返してみると、確かに棒の長さの違いで振った感触は変わります。

問題なのは、この感触と棒の長さが相関関係にあるかということです。

アメリカの心理学者ソロモン・アッシュらの研究によると、振って知覚された長さと実際の長さはよく対応しており、これは棒の重さを変えても、非利き手で振っても、振り幅を小さくしても結果は変わらなかったといいます。

したがって、振るということでも棒の長さを知覚できるということになります。

このように、環境に情報を見つけようとするとき、手は「触れる」「振る」「つつく」などさまざまな動きをします。

このような手の動きを総称して「ダイナミックタッチ」と呼ぶのです。

また「振る」というダイナミックタッチでは、長さ以外に「かたち」も知覚されるといいます。

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