高齢動物の筋は若齢動物の筋に比べ、再生が十分に起こらないとされています。
高齢の筋では再生反応が弱く、変性前の機能の数割までしか回復しません。
こを検証するべく、異なった再生反応を起こす原因は「高齢と若齢の筋自体の差」として存在するという仮説が立てられ、若齢ラットの筋を高齢ラットに、高齢ラットの筋を若齢ラットに移植するという研究が行われました。
この実験の結果、再生の程度は、組織を提供する側の年齢よりも組織を受け入れる側の動物の年齢に依存することを示しました。
すなわち、高齢の筋を若年のラットに移植すると、若年の筋を若年のラットに移植した場合とほとんど同じように再生しました。
同様に、質的には高い能力があると思われる若年の筋を高齢ラットに移植した場合には、再生が悪い反応が起こりました。
これらの結果は、高齢になっても筋の再生能力は必ずしも低下するわけではなく、筋のおかれた環境の再生能力に重大な影響を及ぼすことを示しています。
その問題のひとつとして、筋を再支配する高齢の運動神経の能力低下であることが分かっています。
加齢に伴って運動神経の数が減少することが原因ではないかとされています。