筋線維の壊死と再生のしくみ

筋肉に強い負荷がかかったり何らかの損傷が生じたりすると、筋線維が壊れてしまうことがあります。これを「筋線維の壊死」といいます。筋線維の壊死はまず細胞膜の破壊から始まります。このとき細胞膜の内側にある「ジストロフィン」というタンパク質も同時に壊れてしまいます。ジストロフィンは筋肉の細胞膜を安定させ強化する大事な役割を持っているため、それが壊れることで細胞の構造が不安定になります。

細胞膜が壊れると通常は細胞の外にあるカルシウムイオン(Ca²⁺)が大量に細胞内に流れ込んできます。カルシウムが過剰に入ることで、筋原線維という筋肉の収縮に関わる構造が過剰に収縮し、筋線維が丸く縮こまったような状態になります。このとき筋線維はガラスのように透き通って見えることがあり、そのため「opaque線維(オペーク線維)」と呼ばれることもあります。

筋線維の壊死は「節状」、つまり部分的に起こるのが特徴です。筋線維は長くて大きな細胞ですが、全部が一度に壊れるのではなく部分的に壊れて、また他の部分は残るような壊れ方をします。

さらに細胞内に流れ込んだカルシウムは、Ca²⁺に依存するタンパク質分解酵素も活性化させます。これによって筋原線維を構成するタンパク質が壊れ始めます。この壊れたタンパク質を片付けるのが「マクロファージ」という免疫細胞です。マクロファージは壊れた筋線維の内部に入り込み、壊れた部分を食べて(貪食して)消化していきます。マクロファージの活動は筋線維が壊れてから約48時間後にピークを迎えます。このころになると壊れた筋線維の周囲にはマクロファージが集まり、壊死した部分のタンパク質を掃除しています。またこの時期には筋線維と筋線維の間の間隔が広がって、浮腫(むくみ)も確認されることがあります。

ここで注目すべきなのは筋線維が「再生できる力」を持っているという点です。筋線維は多核細胞といって、ひとつの筋線維の中にたくさんの細胞核があります。さらに筋肉の周囲には「筋サテライト細胞」と呼ばれる再生のもとになる細胞がスタンバイしており、これが再生の中心的な役割を果たします。

筋サテライト細胞は、マクロファージが掃除をしている間にもすでに活動を始めています。サテライト細胞は「筋芽細胞」と呼ばれる状態に分化してどんどん増殖していきます。このとき壊死した筋線維の周りは、マクロファージと筋芽細胞で埋め尽くされるようになります。筋芽細胞がある程度増えると、次はお互いに融合を始めます。この融合した細胞を「筋管細胞」といいます。壊死してから約72時間後には、顕微鏡でこの筋管細胞がはっきりと観察できるようになります。そして筋管細胞が壊れた筋線維の端と端をつなぎあわせるように融合していき、元の筋線維を再生します。

再生された筋線維は、中心に細胞核があるのが特徴です。このような再生中の筋線維を「中心核線維」と呼びます。また筋芽細胞や筋管細胞の一部は、再生中の筋線維に融合せず別の新しい筋線維になることもあります。あるいはもともと壊れていない周囲の筋線維に融合することで、その筋線維自体が太くなり「筋肥大」が起こることもあります。

このような仕組みは、筋トレを行ったときの筋肉の成長(いわゆるトレーニング効果)にも関係しています。つまり筋肉を適度に傷つけ、それを修復する過程でより強くなる、というのが筋肉の再生と成長の基本的な流れなのです。最新の研究では、筋肉の再生には免疫系と再生系の緻密なタイミングが必要だとされています。マクロファージは単に壊れた細胞を掃除するだけでなく、筋サテライト細胞に再生の合図を送る「スイッチ」としての役割も果たしています。逆にこのタイミングが崩れると、適切な再生が起こらず、筋肉が弱くなったり、線維化してしまうリスクもあります。

このように筋線維の壊死と再生は、非常にダイナミックで精巧なプロセスです。筋肉は一度壊れてもそれを回復させる強い能力を持っていますが、そのためには適切な休息や栄養、タイミングの良い刺激が必要になります。トレーニングを行うときもこのような仕組みを理解しておくと、より効率的に筋肉を育てることができるでしょう。

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