筋の痛みの発現メカニズム

痛みは「組織の実質的・潜在的傷害に基づいて起こる不快な感覚的・情動的体験」と定義されていて、ケガや病気などに伴って起きます。痛みは生体の警告信号として、生存に不可欠な感覚とも言えるでしょう。

筋に痛みが生じるメカニズム

筋に痛みが生じるメカニズムには、筋炎などの病気や筋線維断裂のような筋損傷、打撲などの筋の傷害、筋疲労、筋痙攣、筋のコリなどが考えられます。運動による筋の痙攣は運動中や運動直後に起こる筋の痛みを伴う発作性の不随意収縮であって、発生しやすい条件としては持久性の運動直後の疲労状態、暑熱環境下、伸張性から短縮性収縮に切り替わる局面などが考えられます。これは疲労による運動神経の脊髄レベルでのコントロール異常による筋紡錘活動の増強と、腱器官の抑制の相乗効果により強い収縮を生じたものと考えられています。また、一般的な「コリ」と言われるものは、持久的緊張や疲労により筋が硬くなり、血管を圧迫して血行を阻害し、その結果として疲労物質が蓄積し痛みを生じ、その痛みの悪循環でさらに別の痛みまで発生、増強していく状態とされています。

原因は筋線維や結合組織の損傷による炎症。

生理学的なメカニズムとしては、筋細胞内のカルシウムイオンの回収が遅れることで、筋収縮の弛緩が起こりにくくなるということも関係があるのではと考えられています。また、筋肉痛などの運動から数時間から1日以上してから発現する痛みを遅発性筋肉痛(DOMS)と呼びますが、原因は筋線維や結合組織の損傷による炎症と考えられています。遅発性筋肉痛の予防としては、主要因である伸張性の負荷を急にかけずに段階的に行うこと、準備運動などを十分に行ってから運動することなど、基本的な処置によってもその発現を抑制することができると言われています。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。