股関節疾患と骨の形成異常

よく股関節の異常についてお客様とお話ししていると、股関節疾患に関しては比較的先天的な問題がある人が多いなと思うことがあります。

股関節は、寛骨臼と大腿骨頭との間で形成される球状の関節です。

解剖学的な特徴としては、寛骨臼は外側に向くとともに下方に45°傾斜し、さらに20°前捻しているという特徴を持ちます。

大腿骨の頚体角および前捻角の影響で、大腿骨頭は上方、内側、前方を向いているのが大きな特徴です。

骨の形成不全と過剰形成

先天的な問題が多い股関節といいましたが、寛骨臼、および大腿骨の異常としては、大別すると骨の形成不全と過剰形成とに分けられます。

形成不全としては、寛骨臼形成不全症が主であり、過剰形成としては寛骨臼と大腿骨との衝突である大腿骨寛骨臼インピンジメント (FAI)を生じる寛骨臼、及び大腿骨の形態異常が代表的なもの。

形成不全である寛骨臼形成不全症では、一般に前額面における寛骨臼の傾斜が増大し、大腿骨では頸部の短縮や前捻角の増大を認めることが多いのがその特徴です。

また寛骨臼に対して大腿骨頭中心が総体的に外側へ偏移していることが多いFAIに関連する骨形態の異常としては、寛骨臼の一部、または全体が形成され、関節が過被覆な状態になるpincerタイプや大腿骨頭-大腿骨頭部が合流し非球形な状態であるcamタイプ、およびそれらの複合タイプがあると言われています。

股関節疾患の運動療法

これら先天的な関節形成異常の特性を捉えつつ、どう運動療法で改善していくのか。

可動域や組織流動性、滑走性など非常に重要ですが、運動をしていくことで筋機能を改善することにより、 一般的に筋力の決定要因となる筋の組織形態・構造学的要因(筋断面積筋線維の太さ、筋線維数、筋線維タイプ)、そして神経系の要因(筋収縮に参加する運動 単位の動員(recruitment)の増加、発火頻度(rate coding)の上昇)など改善していくことで変形から守るとともにより適切な股関節運動を構築していきます。

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