ストレス反応と「闘争・逃避反応」

ストレス反応として一般に知られているのは、「闘争・逃避(fight or flight)反応」です。夜道を歩いているとき、不審な人物(外敵)が近くにいることに気付いたという状況に対して、人は敵と戦ったり敵から逃げたりする状態に体を変化させます。つまり、体中に効率よく栄養や酸素を行きわたらせるために脈は速くなり、血圧が上がり、呼吸も速くなります。エネルギー源となる血糖は上がり、暗闇でも相手が見えるように瞳孔は開き、すぐに体を動かせるよう筋肉は緊張します。このような「闘争・逃避反応」は、外敵からの攻撃に対応するのには適しています。

「思いやり・絆(tend and befriend)反応」

しかし困ったことに人間は、敵に襲われるといった緊急事態ではなくても、日常的なストレス(人間関係がうまくいかないとか、仕事がたまっているとか)に対してもこの「闘争・逃避反応」を起こしてしまうため、高血圧や糖尿病、筋緊張からくる頭痛や肩こりに悩まされることになってしまうのです。それだけではなく、この反応が慢性的に続くと、うつ病などの精神疾患を引き起こすことにもなりかねません。「闘争・逃避反応」は、医学ではほぼ常識として受け入れられていましたが、最近これとは別種のストレス反応が注目されています。それはストレスにさらされたときに子どもを守り仲間と集まるという反応、すなわち「思いやり・絆(tend and befriend)反応」です。この反応は、体内のオキシトシンというホルモンが増えることで起こるとされています。

オキシトシンは絆ホルモンとも呼ばれ「助けてほしい、苦しみを知ってほしい」という気持ちに関係しています。男性でも女性でも、ストレスにさらされると「闘争・逃避反応」と「思いやり・絆反応」の両方が引き起こされますが、前者は男性に、後者は女性に強く認められる傾向があるそうです。このようなストレス反応の違いがあるのはもっともなことであり、それが現代にまで引き継がれているのです。例えば企業で勤める人が最もストレスを感じるのは「人間関係」であると言われています。

ストレスをどう回避するか

それに次いで「仕事の量と質」が挙げられます。このようなストレスに対して、「闘争・逃避反応」はあまり役に立ちません。その意味で、現代ではストレスを受けると男性は人と会いたくなくなり、女性は人と会いたくなるといわれています。また、女性は男性の8倍の身体ストレスを受けるといわれています。ストレス発散方法として、食べることや寝ることがあげられますが、太ってしまいストレスのサイクルを生みかねません。そのため、体を動かすことや人と会って話すことが一つのストレス回避になるかと思います。

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