骨盤マルアライメントの評価

骨盤のマルアライメントは骨盤の歪みとして表現されています。

骨盤のマルアライメントには骨盤全体の位置や傾斜の異常、寛骨と仙骨のマルアライメント、股関節のマルアライメントの混在が見られます。

骨盤のマルアライメントはどのように評価するのでしょうか?

骨盤のマルアライメントの影響

骨盤は体の中心に位置し、下肢からの荷重伝達や体幹部の土台としての役割を果たします。

骨盤が対称でないと骨盤荷重伝達障害が起こりやすくパフォーマンスの低下につながります。

マルアライメントは脊柱運動に影響を及ぼし、骨盤に歪みがあると仙骨に傾斜や回旋が生じた結果、脊柱にも傾斜や回旋がおこります。

そのため、体幹の前後屈の際に腰椎部には矢状面+水平面の運動が起こり、腰椎運動に以上をきたす可能性があります。

運動に異常をきたすと痛みの原因となるため、骨盤がどのようになっているのか評価が必要となります。

評価としては、寛骨対称性、仙骨マルアライメント、大臀筋・胸腰筋膜によるフォースクロージャー、股関節可動域制限・マルアライメントを見ていく必要があります。

寛骨対称性

寛骨対称性は立位か仰向けで評価し、ASISとPSISを触診します。

矢状面で前傾にある寛骨はASISは下方に、PSISは上方に位置します。

しかし、骨盤の非対称性、例えば右寛骨前傾、左寛骨後傾の場合、右ASISは下方に左ASISは上方に、右PSISは上方に左PSISは下方に変異します。

このマルアライメントは恥骨結合のズレが伴い、股関節周囲の筋緊張の左右差が生じ、可動域にも左右差が見られます。

仙骨マルアライメント

仙骨マルアライメントの評価は、立位か腹臥位でPSIS間の垂直二等分線と仙骨の長軸との位置関係を評価します。

PSISを結ぶ垂直二等分線上に位置するのを正常、尾骨が左右に変異している状態を異常とし、異常の場合は仙腸関節の不安感が存在すると考えられます。

仙腸関節に不安感があると、仙腸関節部や梨状筋、多裂筋などに疼痛をきたし、大臀筋の機能低下も起こります。

大臀筋・胸腰筋膜によるフォースクロージャー

仙骨アライメントが正常の場合、大臀筋の張力は仙骨を介し反対側の胸腰筋膜に伝達されることによって仙腸関節の安定性に関与します。

これを大臀筋・胸腰筋膜によるフォースクロージャーと言います。

大臀筋の張力に左右差がある場合、仙骨が傾き大臀筋の張力伝達パターンに変化が起きますが、原因として、大臀筋の筋力差や機能不全、周辺組織の滑走不全が考えられます。

異常伝達パターンとして、大臀筋活動による張力が同側の広背筋に優位に伝達される場合、臀部外側の筋を介して同側の股関節屈筋群へ伝達される場合の2つがあります。

この2つの異常パターンは歩行周期の立位初期から中期の荷重期において仙腸関節の安定性を損ねる原因となり、荷重に伴う疼痛や骨盤荷重伝達障害の原因になります。

股関節可動域制限・マルアライメント

股関節の可動域制限は骨盤・腰椎の代償運動を助長させ、腰痛やパフォーマンス低下を招きます。

体幹の前屈において股関節屈曲制限があると、腰部から骨盤の過剰運動が要求され、逆の後屈においては股関節伸展制限があると、腰部から骨盤の過剰運動を招きます。

可動域制限に左右差がある場合、寛骨の非対称アライメントを招き、腰椎や仙腸関節にストレスが加わります。

股関節のマルアライメントとしては、大腿骨頭の前方偏位により、股関節屈曲時の前方部でのインピンジメントが生じます。

これは梨状筋や大臀筋などの緊張が高い場合に大転子が後方へ引かれる反作用で大腿骨頭が前方に偏位します。

 

骨盤マルアライメントの評価においては、寛骨マルアライメント・仙骨マルアライメント・股関節マルアライメントの3つのマルアライメントを評価することが必要です。

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