関節包内運動としまり・ゆるみ
関節には、その角度によってしまりの位置(close−packed position)とゆるみの位置(open−packed position)があります。
しまりの位置とは、関節を構成する骨の凹面と凸面とが完全に合致し、関節包・靱帯が緊張した位置であり、関節の遊びがない状態のことをさします。
またしまりの位置以外をゆるみの位置と呼んでいます。
さらにゆるみの位置のうち、最もゆるんだ位置を「least−packed position」といいます。
この位置では、関節の遊びが最も大き関節自体にかかる負担が少ないとされ、機能的肢位あるいは良肢位ともいわれています。
関節包内運動の評価・治療はこの位置から始められることが望ましいとされています。
関節包内運動は次の2つから成ると考えられています。
関節の遊び(joint play)と構成運動(component motion)です。
関節の遊びとは、骨運動は伴わず他動的にのみ起こる関節面での動きのことで、離開(distraction)や関節の傾き(tilt)などがあります。
構成運動は自動的、他動的な骨運勤に伴って起こる関節面の動きで、回転(rolling )、滑り(sliding)、および回旋(spin )などがあります。
この2つを総称して関節包内運動といいます。
関節包内運動における法則としては、骨運動に際し凸面を持つ骨が動く場合と、凹面を持つ骨が動く場合にはそれぞれ関節包内に一定の法則があるとされています。
関節の凸面を持つ骨が動く場合、関節包内では関節面がこの骨とは逆の方向に滑るという法則を凸の法則といい、肩甲上腕関節において肩外転運動が起こる時、上腕骨が上に挙がるにつれて上腕骨頭が下に滑るという場合などがこれにあたります。
一方、関節の凹面を持つ骨が動く場合には、凸の法則とは逆に関節面は骨の動ぎと同方向に滑りが起こる凹の法則が当てはまります。
中手指節(MP )関節の伸展において、基節骨底部が後方に滑るというのがこの例になります。
これらの法則は、動く骨の関節面の形態が凸面か凹面かによって骨運動が起こる際、例外なくみられる正常の動きになります。
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