カプサイシンの働き

小さじ一杯のトウガラシでも口に含むと、口の中は焼かれるように熱く、皮膚や目は熱いような痛いような複雑な感覚に陥ります。

映画プロジェクトA2でジャッキー・チェンが唐辛子を口いっぱいに頬張りながら戦うシーンがありましたが、見ているこっちも熱くなるような感覚になりますね。

トウガラシを食べると体全体も熱く感じますが、これは気のせいではなく、実際に体温は0.5℃程度上昇します。

トウガラシが辛いのは、カプサイシンという物質のせいであることは万人の知るところです。

カプサイシンは熱しても凍らせても破壊されないため、調理しても辛味は変わりません。

どうしても辛味を取り除きたい場合、カプサイシンを含んでいる種と葉脈を取り除くしかありません。

カプサイシンを摂取するとまず受容体に結合し、受容体からは神経シグナルが発せられます。

それが脳に到達すると、ノルアドレナリンやβエンドルフィンが分泌されます。

このため、交感神経が優位になり、血糖値や心拍数が高まり、血圧が上がって、体温が上がります。

したがって、カプサイシンは代謝を高めることになるため、エネルギーをより消費させます。

さらにβエンドルフィンは痛みをやわらげ、多幸感をもたらす脳内麻薬の一種であると言われています。

脳内麻薬とは、脳内で産生されるモルヒネのような効果のある物質のことで、βエンドルフィンやエンケファリンなどがあります。

トウガラシを食べたとき、辛さと痛さ、そして焼けるような熱さのあとにやってくる心地よさ、そしてやみつきになるその感じは、βエンドルフィンが放出されることによると考えられます。

その証拠にカプサイシンが神経細胞に接触すると、最初のうちは痛みを感じますが、しかし接触し続けると、やがて痛みが失われます、

この痛みを忘れさせる要因こそ、βエンドルフィンであることが確認されています。

おそらく、これ以外にもエンケファリンなどが放出されていると推測されます。

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