股関節屈曲位での立位姿勢

長時間屈曲した保持した股関節にはしばしば屈曲拘縮が発生します。それには、股関節屈筋の痙性、股関節伸筋の重度な弱化、関節包の痛みや炎症、慢性の股関節脱臼、長時間の座位保持などがしばしば関係します。
そうなると、やがて股関節屈筋や関節包靱帯が適応性短縮を起こし、股関節の完全伸展を制限します。

立位の正常バイオメカニクスの破綻

股関節屈曲拘縮の1つの帰結は立位の正常バイオメカニクスの破綻があります。一般に、人における直立歩行は代謝の観点からは効果的となり、健常人が立っているとき、股関節周囲の筋活動は小さいものとなります。股関節伸展位は、2つの対抗するトルクの相互作用により安定します。すなわち、体重とストレッチされた関節包靱帯の他動的伸張です。通常、完全伸展に近い状態での立位は股関節の内外軸のわずか後方を重心線が通ります。そのため、体重は非常に小さく有用な伸展トルクに変換されます。伸張された関節包靭帯に生じる他動的屈曲トルクは、よりいっそう伸展を防ぎます。

股関節の屈曲拘縮

股関節の屈曲拘縮では、立位をとると股関節が部分的に屈曲したままですが、この姿勢では重心は股関節の前方に落ち、屈曲トルクを生みます。一般的に立位時、重力は股関節の伸展に作用しますが、この場合は、重力は屈曲作用に転換します。そのため股関節、膝関節の完全屈曲を防ぐために股関節伸展トルクが必要になります。

したがって、立位時の代謝コストは増加し、多くの人は徐々に座位をとりたくなります。股関節が屈曲拘縮の状態で立つことは、股関節の最適な圧迫荷重分散能を低下させます。屈曲肢位を維持するためにより大きな筋が必要となり、それに反応して股関節内の圧力は増加します。
また、股関節屈曲位で立位姿勢を取ることで、関節軟骨が最適な位置から外れ、股関節表面の摂食を増加させる可能性を高めます。
これは股関節の圧力を増加させる原因となります。

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