がんと運動効果

今日は、「ガンと運動について」です。「予防」のためというのはもちろんですが、「ガン患者」や「ガン経験者」についても運動を推奨するというものです。

【ガン予防と運動の有効性について】

「世界がん研究基金・米国がん研究協会」による「がん予防の」ために推奨される10ヶ条」の中で、身体活動が

・結腸癌…リスクを下げることが「確実」(運動が癌のリスクを約5~7割に低下させる)
・乳癌(閉経後期)・子宮内膜癌…リスクを下げる「可能性大」
・肺癌・前立腺癌・乳癌(閉経前期)…リスクを下げる「可能性がある」

さらに具体的な身体活動量として

○「最低30分以上の適度な強度の身体活動を毎日実施すること」
○体力向上を目的に「60分以上のやや強度の高い運動、あるいは30分以上の強度の高い運動を毎日実施すること」
○「テレビ鑑賞のような座位の習慣を少なくすること」

が書かれています。

どんな運動をすればいいのか?

では、どんな運動をすればいいのか?

①歩行:最も手軽に行える運動で、速歩がお勧めです。歩く時間が少なくても目的地の少し前の駅で乗物を降りて歩く、休憩時間に散歩する、歩いて買い物へ行く、駅や建物内ではエスカレーターやエレベーターを避けて歩いて上がり下がりをする、テレビのチャンネルを変えるのにリモコンを使わないなど小さい積み重ねで目標量を達成できます。下肢障害者でもプール内での歩行が可能なこともあります。(最終目標の目安:1日1万歩(約7km)を90分で歩く)

②体操:毎日のテレビ体操や太極拳でも汗が出るほどの強度があります。布団の上げ下ろし、掃除・雑巾がけ・家事などの日常生活の中でも身体を動かす機会は多くあります。

③軽いスポーツ:ジョギング、なわとび、サイクリング、水泳、ゴルフ、ダンスなど好きなスポーツでいいです。

これらの運動習慣を身に付け継続的に行うようにする。どの運動でも徐々に強度を上げていく必要があります。最初から上げすぎないように。1日にまとめて何時間も運動するよりは、少しずつ毎日続ける方が有効です。ただし体調の悪い日は休むようにしましょう。「余暇運動の頻度が高いほど、乳がんになりにくい」との研究結果も発表されています。継続的な運動を心がけたいものですね。

治療後の運動を肯定する科学的根拠

これまでがん治療を受ける患者は体力を温存するため、できる限り安静にすることが望ましいとされてきました。しかし現在は、癌の治療中あるいは治療後の運動を肯定する科学的根拠が数多く蓄積されています。
化学療法や放射線療法に耐えうる体力を付けることによって生存率の向上が期待できるほか、次のような便益が得られることがわかっています。

・倦怠感の軽減:化学療法によって赤血球が減少するため倦怠感がみられることが多いが、有酸素運動をすることにより、倦怠感に対する治療の必要性を軽減することができる。

・筋肉量および骨量の低下を軽減:多くの患者は、化学療法やホルモン療法をうけると筋肉量および骨密度が低下するが、定期的な運動によって癌および癌治療によるこれらの低下をともに軽減できる。

・生活の質(QOL)の向上:運動をすると、不安やストレスの軽減など情緒面でも利益を得られ、癌患者の全般的な快適さが向上する。

「癌の診断を受けてから運動を始めても有効と思われるが、診断される前から健康的な状態を維持していればなおよい」(HealthDay Newsより)

これから、クリスマス、年末年始、忘年会や新年会などでなかなか体を動かす機会が少なくなります。来年から…ではなく今からでも継続的な運動習慣を付けていきたいですね。
ガンは待ってはくれませんから。

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