酢酸ダイエット

ヒトの体内では、空腹時には体脂肪が分解され、満腹時には脂肪の合成が活発になっているのはもはや当然のこと。脂肪や炭水化物摂取が過剰になると脂肪は蓄積の方に偏り、肥満や肥満に起因した様々な疾病を引き起こしやすくなることがよく話題になるものです。

外因性に摂取された酢酸には余剰体脂肪の蓄積抑制、脂肪肝抑制、耐糖能改善、また骨格筋における脂肪代謝促進作用がある。

肝臓における絶食時の脂肪酸代謝ならびに摂食時の肝臓における脂肪合成に関する研究を見てみると、空腹時の肝臓では脂肪酸が分解されてケトン体が生じ、このケトン体は生体燃料として利用されることが知られていますが、脂肪酸分解により肝臓ではケトン体と共に酢酸も生成されることをも有名です。しかしながら、体内で生成される酢酸ではなく、食事や飲料などとして外因性に摂取された酢酸には余剰体脂肪の蓄積抑制、脂肪肝抑制、耐糖能改善、また骨格筋における脂肪代謝促進作用があることなどもわかっており、これらは酢酸によるダイエット効果、健康のためのお酢、などと言われております。

酢酸摂取は脂肪合成関連遺伝子の転写量を低下させる。

ラットにおける実験報告では、2型糖尿病の病態モデル動物に酢酸を継続的に摂取させると、肥満が抑制され耐糖能を改善させるという報告があります。また肝臓においては、脂肪合成関連遺伝子の転写量を低下させることから、酢酸は脂肪合成を抑制するように作用すると示唆されます。その他エネルギー消費割合の増加、白色および褐色脂肪組織においては脂肪滴肥大化の抑制が見られることもわかっています。

摂食時に酢酸を摂取すると脂肪合成の抑制による肥満の抑制が期待できる。

外因性に酢酸を摂取すると酢酸は容易に血中に移行し組織に速やかに取り込まれた後、その代謝過程でAMP(アデノシン一リン酸)を生成し細胞内のAMP/ATP比を増加させてAMPキナーゼ(AMPK)を活性化させます。一般的にはAMPKは運動によって骨格筋で活性化するものではありますが、酢酸の摂取によりAMPキナーゼ(AMPK)が活性化することで脂肪酸酸化を促進し、その結果として脂質代謝と肥満、肥満に関連した2型糖尿病の予防に効果があることがわかってきています。

また他の研究報告をみると、酢酸を継続的に摂取すると水摂取に比較して腹腔内脂肪量の減少と体重増加の抑制がみられたものもあります。
この報告では、継続的な酢酸摂取および運動トレーニングにより、耐久性運動下でのグルコース利用の抑制および脂肪酸酸化の促進が見られたことを報告しており、継続的な酢酸の摂取と運動は脂肪をエネルギーとした代謝の促進と運動耐久性の向上示しているものになります。

以上のことを考えると、酢酸は空腹時には内因性の成分として生成され生体燃料として利用されますが、摂食時に酢酸を摂取すると脂肪合成の抑制による肥満の抑制、さらに肥満に起因した2型糖尿病予防効果をもたらす可能性があるといえるでしょう。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。