光周性と概日リズム

元来、動植物には、光周性という日照時間の変化により生理機能を変化させるという性質を持っています。たとえば動物においては、繁殖、渡り、冬眠、換羽(換毛)があります。この光周性には、光を感じやすい位相があり、その位相には周期性があることが分かっています。

内因性の概日時計

その光感受性の周期はおよそ24時間周期であり内因性の概日時計によって調節されることが明らかになっています。光周性の制御部位は脳の視床下部内側基底部であり、光周性の制御には視床下部への甲状腺刺激ホルモンの作用が重要になります。

冬が明け、春になり昼の時間が長くなると、春の長日条件により脳下垂体隆起葉から産生された甲状腺刺激ホルモンが視床下部に作用し、光周性をコントロールすると共に、性腺の発達が促されます。春は多くの動物の繁殖の時期ですが、こういった動物の季節性の行動変化は日照時間の変化がもたらしており、その発端となるのが下垂体隆起葉から産生された甲状腺刺激ホルモンが視床下部に作用することであり、それは春の季節変化がもたらすものであるということです。

光周性からのアプローチ

我々人間にとっては、春になることはほんの小さな出来事かもしれませんが、動物界では非常に大きな意味を持つものだということですね。ちなみに人間には明瞭な光周性はありませんが、季節性感情障害の治療において光周性からのアプローチが有効だとされています。

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