体重と靭帯による安静時立位姿勢

股関節の完全伸展に近い状態での立位は股関節内外軸のわずかに後方を重心線が通ります。

そのため、体重は非常に小さくそして有用な伸展トルクに変換されます。

この作用と、これにより伸張された関節包靱帯が起こす屈曲トルクとの相互作用により安定した立位姿勢が生じます。

重力と靭帯の伸張によって作られた静的平衡は、安静立位時の股関節周囲筋の活動を最小限に抑え、必要に迫られたときのみ強く活動するように倹約します。

しかし、何らかの原因により股関節の屈曲拘縮が生じている際に立位を取ると、股関節は部分的に屈曲したままとなります。

この姿勢では、重心は股関節の前方に落ち、屈曲トルクを生み出します。

一般的に、立位時、重力は股関節の伸展に作用しますが、この場合は屈曲作用に転換します。

そのため、股関節、膝関節の完全屈曲を防ぐために股関節伸展力が必要となります。

したがって、立位時の姿勢に辛さを感じ、積極的に座位を取ろうとします。

そして長時間の座位は屈曲拘縮をさらに進めてしまう原因となります。

こうした方には股関節伸展を目標に、伸展筋力の増強、屈筋と関節包のストレッチ、腹筋群の活動などをプログラムに取り入れる必要があります。

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