変形性膝関節症の下肢アライメントは、内反変形の場合が多いとされています。
それに対して足部のアライメントは、足部が回内している場合と回外している場合があり、前足部や後足部でも別々の動きをしていて病態は非常に複雑であり多種多様なパターンを示します。
そのため下肢のアライメントを評価するときに混乱を生じやすい部位になります。
荷重位での踵骨後距骨関節面を矢状面からみたときの傾斜角度は、水平面に対して約45度前頭方に傾斜しているとされています。
これは頸椎の関節突起の上関節面の傾斜角度が水平面に対して、約45 度後頭方へ傾斜しているため、頸椎の側屈には同側への回旋が生じる理論と同様なことが考えられます。
ST関節が回内すると、水平面上では踵骨に対して距骨は内旋し、前額面上では踵骨に対して距骨は外方傾斜していきます。
また回外では、この逆の動きが生じることになります。
アーチが低下しST関節が回内すると、下腿の内旋とともに下腿が距骨と一緒に外方へ傾斜するために膝関節の内反変形が生じると考えられています。
さらに、内側アーチが低下すると踵骨の後距骨関節面の角度が増加し前方への傾斜が強くなります。
これに合わせて、下腿の垂直軸も前方に傾斜するために足関節を底屈して下腿を垂直方向に調整しない限りは、膝関節は屈曲位を呈することになります。
よってST関節回内による内側アーチの低下に対する足底板や運動療法の必要性は重要になってくるのです。
通常の静的立位では、踵骨の踵骨隆起の外側突起が接地しており、踵骨だけみると不安定な接地の仕方をしています。
しかし、踵骨底部は軟部組織によって覆われているため踵骨は安定して接地していると考えられます。
回外位では、踵骨隆起の外側突起を支点に踵骨は外方傾斜して、回内位では踵骨隆起の内側突起を支点に踵骨は内方傾斜します。
つまり、ST関節が回内位でも踵骨のどの部位が支点になるかによって下肢アライメントが大きく変わることが考えられます。
このことから、変形性膝関節症の下肢アライメントではST関節回内かつ踵骨外側突起が床面と接することによって、下腿が外方傾斜し股関節が外転外旋しているので膝関節は内反していると考えられます。
一方、同じように内側アーチが低下していても下腿が内方傾斜している場合もあります。
これはST関節の回内かつ踵骨内側突起が床面と接することによって、下腿が内方傾斜し股関節が内転内旋しているので膝関節は外反していると考えられます。
すなわち、ST関節が回内位でも踵骨突起のどの部位が床面と接しているかによって、下肢アライメントが大きく変わることが考えられます。
このように考えると、下肢のアライメントを評価・治療する時には、ST関節の肢位を把握することと踵骨突起の接地点を確認することは重要な要素であるといえます。
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