しゃっくり、誰でも一度は経験したことがありますよね?突然「ヒック」となって止まらない、あの現象。ちょっとしたお遊び感覚で「水を飲むと止まる」「驚かせるといい」なんて言われたりもしますが、実際にしゃっくりはどういう仕組みで起こるのか、考えていきましょう。
しゃっくりとは? 〜その正体は横隔膜の痙攣〜
しゃっくり(医学的には「吃逆(きつぎゃく)」)は、横隔膜が異常な収縮を起こし、それに伴って声門(のどの奥にある声帯の部分)が急激に閉じることで発生します。これによって「ヒック」という音が出るわけです。
横隔膜は、呼吸を司る大切な筋肉で、肺の下にドーム状に広がっています。普段は意識せずとも、横隔膜の動きによって呼吸がスムーズに行われています。
しかし、何らかの刺激を受けると横隔膜が突発的に痙攣し、それがしゃっくりとして現れるのです。
しゃっくりが起こる原因
しゃっくりの原因は多岐にわたりますが、主に以下のようなものがあります。
◎胃の急激な拡張
食事を一気に食べたり、炭酸飲料を飲んだりすると、胃が急に膨らみます。これが横隔膜を刺激し、しゃっくりが誘発されることがあります。
◎刺激性の食べ物・飲み物
辛いものや炭酸飲料、アルコールなどは迷走神経(横隔膜を制御する神経)を刺激し、しゃっくりを引き起こすことがあります。
◎温度の急変
冷たいものと熱いものを交互に摂取することで、神経が過敏になりしゃっくりが起こることがあります。
◎精神的ストレスや興奮
驚いたり、緊張したりすると、迷走神経が活性化され、しゃっくりが出ることがあります。よく「驚かせると止まる」と言われるのは、この逆の作用を利用したものですね。
◎病気が原因の場合
まれに、長期間続くしゃっくりは脳梗塞、脳腫瘍、胃食道逆流症(GERD)、神経系の疾患などが関与していることがあります。特に48時間以上続くしゃっくりは病的なしゃっくりの可能性があるため、医療機関の受診が必要です。
しゃっくりのメカニズム 〜反射弓の働き〜
しゃっくりは、以下のような神経の反射回路(反射弓)によって生じます。
◎求心路(感覚神経):迷走神経や横隔神経が刺激を受け取る。
◎中枢神経(調整センター):延髄にある「しゃっくり中枢」で処理される。
◎遠心路(運動神経):横隔神経を通じて横隔膜に痙攣の指令が送られる。
このプロセスがループのように続くことで、しゃっくりが止まらなくなることがあります。
しゃっくりの止め方 〜科学的に有効な方法〜
しゃっくりを止める方法は昔からいろいろと試されてきましたが、科学的に効果があるとされる方法を紹介します。
◎息を止める
横隔膜の痙攣を抑えるために、大きく息を吸い込んで10〜20秒ほど息を止めると良いとされています。これにより、血中の二酸化炭素濃度が上昇し、しゃっくりが止まりやすくなります。
◎冷水を飲む
冷たい水を少しずつ飲むことで、迷走神経が刺激され、しゃっくりが収まることがあります。
◎舌を引っ張る
舌を強めに引っ張ることで、迷走神経を刺激し、しゃっくりの反射を抑えることができます。
◎耳に指を入れて押す
耳の奥にある迷走神経の一部を刺激することで、しゃっくりを止める効果があります。両耳に指を入れ、軽く押しながら30秒ほど待つと良いでしょう。
◎紙袋呼吸法(ペーパーバッグ法)
紙袋を口にあて、ゆっくりと息をすることで、血中の二酸化炭素濃度が上昇し、しゃっくりが収まりやすくなります。
しゃっくりが長引く場合の対処法
通常のしゃっくりは数分〜数時間以内に収まりますが、48時間以上続くしゃっくりは「持続性しゃっくり」として医学的な診察が必要とされます。
さらに、1ヶ月以上続く場合は「難治性しゃっくり」と分類され、重篤な疾患が隠れている可能性もあります。
その場合、以下のような治療法が用いられることがあります。
◎薬物療法(バクロフェン、クロルプロマジンなどの鎮静剤)
◎神経ブロック(横隔神経ブロック)
◎迷走神経刺激療法(医療機関で行う特別な処置)
しゃっくりは、横隔膜の痙攣によって起こる生理的な現象で、多くの場合は短時間で自然に治ります。しかし、長引く場合は病気が原因の可能性もあるため、注意が必要です。
また、息を止める、冷水を飲む、舌を引っ張るといった簡単な方法でしゃっくりを止めることができる可能性があります。もししゃっくりが止まらなくて困ったら、ぜひ試してみてください!
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