4つの侵害受容器の役割

関節や筋肉といった皮下の組織や皮膚を含む末梢組織の多くは、侵害性の傷害によって活性化する特殊な感覚受容器をもっています。軽い接触や圧力といった特殊な体性感覚の受容器とは異なり、これらの侵害受容器の多くは一次感覚ニューロンの自由神経終末です。侵害受容器には温度侵害受容器、機械侵害受容器、ポリモーダル侵害受容器という3つの主要な受容器と、サイレント侵害受容器と呼ばれる詳細がまだわかっていない受容器の4種類があります。

温度侵害受容器、機械侵害受容器、ポリモーダル侵害受容器

温度侵害受容器は、典型的には45℃以上あるいは5℃以下の極端な温度刺激によって活性化します。温度侵害受容器は細く薄い髄鞘をもったAδ神経軸索の末端であり、毎秒5〜30mの速さで活動電位を伝えます。機械侵害受容器は、典型的には皮膚に加えられた強い圧力によって活性化し、やはり薄い髄鞘をもったAδ神経軸索の末端となります。ポリモーダル受容器は、強い機械刺激、化学物質刺激あるいは温度刺激により活性化を受けます。この侵害受容器は、毎秒1.0m以下の遅い伝達速度をもった無髄のC神経軸索の終末で認められます。

これら3種類の侵害受容器は皮膚、深部組織に広く分布しており、しばしば同時に活性化されます。金槌で親指を叩くと、まず鋭い痛みを感じ、その後に、より持続性あるうずくのような、そしてときに灼熱痛と形容される痛みが続きます。最初の鋭い痛みは、侵害刺激を受けた温度侵害受容器および機械侵害受容器からAδ線維によって伝達されます。遅く鈍い痛みは、ポリモーダル侵害受容器からC線維によって伝えられます。

サイレント侵害受容器

サイレント侵害受容器は、主に内臓で認められます。この受容器は通常状態では、侵害刺激で活性化されませんが、炎症やさまざまな化学物質によって発火の閾値が劇的に低下すると活性化します。その活性化は、二次痛覚過敏と中枢性感作という2つの顕著な疼痛症候群の発症に関与していると考えられています。

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