運動とホルモンと消化機能

エネルギー代謝は、自律神経系とホルモン系の働きで調節されます。運動時には、交感神経系の機能は高まり、副腎髄質からエピネフリン、ノルエピネフリンが分泌されます。
エピネフリンは、脂肪酸、グリコーゲン、ブドウ糖を動員して、エネルギー源として備えます。また、エピネフリンは、ホスホリラーゼを刺激する一種の生化学的反応を開始させ、それにより、グリコーゲンはブドウ糖に分解され、脂肪組織では、リパーゼによる脂肪の分解が促進されます。

運動時の変化

運動により、血中ブドウ糖値が低下すると、膵臓からグルカゴンが分泌されます。グルカゴンもホスホリラーゼを刺激して肝グリコーゲンの分解を促進し、リパーゼにも作用して脂肪分解を起こします。
血中ブドウ糖値と関連するものにインスリンがあります。インスリンも膵臓から分泌されるホルモンであり、血中のブドウ糖が増加すると放出されます。インスリンは筋のブドウ糖摂取を促進させますが、エピネフリンとグルカゴンの脂肪細胞への働きを抑制させます。

運動時には、インスリン分泌は低下し、グルカゴンの分泌は増加します。運動は、消化機能にも影響を及ぼすとされています。しかし、確立したデータは少ないと言われています。
軽い身体運動は、胃の運動を亢進させますが、胃液分泌には余り影響を与えません。ただし、運動後には、胃酸の分泌が低下します。

中等度以上の運動

中等度以上の運動では、運動の種類に関係なく、運動量の増加に関係なく、運動量の増加に比例して胃液分泌が低下します。激しい運動は食物の胃からの排出を遅らせますが、軽い運動は排出を促進させる傾向にあります。また、胃液の酸性度は低下しますが、酵素の分泌にはあまり変化がありません。

身体運動時には、腸管への血流が減少して、腸管の能動的吸収は低下しますが、受動的吸収は変化しません。さらに肝臓への血流量も減少します。なお、身体運動は、脂質代謝、胆汁の排泄には好ましい影響を与えるとされています。

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