膝関節の異常アライメントと内反膝

前額面では、膝関節は正常で5〜10°の外反位にあります。このアライメントからの逸脱は、過度の外反膝や内反膝といわれています。水平な地形上で正常速度の歩行中、膝関節にかかる関節間力は体重の2.5倍から3倍に達します。この力は、筋活動と床反力との組み合わせの影響によって生じます。

歩行周期の荷重負荷相

歩行周期の荷重負荷相では、床反力は全体としての身体重心に向かうように、正常に踵の外側を通り膝関節へは上内側を通ります。通常の歩行では、床反力は膝関節の内側を通ることによって、各ステップにおいて膝関節の内反トルクを生じます。結果としては、歩行中の膝関節での床反力は、正常では外側関節部よりも内側関節部のほうが数倍大きくなります。

このような繰り返しの内反負荷は、膝関節の外側側副靭帯や腸脛靭帯のような外側構造に緊張を与えることによって部分的に吸収されています。

それでも、たいていの人では、ほとんど何の困難も伴わず、膝関節での非対称的な動的負荷に耐えることができます。

内側部の関節軟骨と半月が希薄化

しかし、なかには、その非対称性が関節軟骨に過度の摩耗を生じ、究極的には片側性の変形性膝関節症になる人もいます。歩行中の膝関節内反ピークトルクが20%増加すると、内側部の膝関節変形性関節症が6倍増加することが示されています。内側部の関節軟骨と半月が希薄化していくと膝関節は、内反膝、もしくはO脚変形という傾向を示します。この悪循環が進行し、内反変形が内側関節部への負荷を増大させ、内側関節裂隙を大きく消失することになり、より大きな内反膝変形を引き起こします。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。