「温熱刺激による筋肥大亢進と筋萎縮抑制」について考える
今日は、「温熱刺激による筋肥大亢進と筋萎縮抑制」について考えていきましょう。
まず、本題に触れる前に温熱刺激についてお話しますが、これは読んで字のごとく、温熱の刺激を与えるというものです。
この刺激を用いた治療法を温熱療法といいますが、なんとそのルーツは紀元前にまで遡るそうです。
紀元前のエジプトでは熱を用いた治療が行われており、医学の父とよばれるギリシャの医師ヒポクラテスも同じような治療法を行っていたといいます。
どうやらその頃からすでに痛みの治療に用いられていたようですが、現在では軟部組織の伸張性だとか、呼吸・循環機能の改善だとか、創傷治療にも用いられています。
そして、近年注目されているのが骨格筋に対する効果です。
筋に温熱刺激を与えてからトレーニングすると筋痛の発生が抑えられたり、筋肥大が促進したり、トレーニング中断による萎縮の進行が抑制されるというわけです。
これがどういう仕組みで起きているのかですが、有力なのがHSPというタンパク質が関与しているという説です。
骨格筋に温熱刺激を与えると、タンパク質の合成に関わる因子の機能が高まり、その因子を阻害する因子の機能が抑制された結果、タンパク質合成が促進されるという仕組みになっています。
そのなかで重要な因子がHSPというタンパク質というわけです。
でもタンパク質と聞くとどうでしょう。
熱に弱いというイメージがありますよね。
実際に、一般には43℃以上の加熱、加温で細胞は死滅すると言われています。
しかし、先にそれよりやや低い温度で加温すれば、次に43℃を超えるような温度で加温しても死滅する細胞は少なくなります。
これに関わるのがHSPで、熱に反応して細胞の抵抗性を高めているのだと言われています。
HSPは熱などのストレスで細胞内に現れるのもあれば、ストレスがかかっていないときでも存在するものとあり、新しいタンパク質の合成や、変性してしまったタンパク質の修復、再利用や分解の手助けをする働きがあります。
つまりタンパク質の品質を管理しているタンパク質といえますね。
このHSPですが、40〜42°によく反応するようです。
他にも温熱刺激やHSPに触れた記事がありますので参考にしてみてください。
ではまた。
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