寒冷療法の選択

「痛めたら冷やそう」というのは実生活でもよく使われるようになった知識ですね。
寒冷療法、いわゆるクライオセラピーは氷やその他の冷却装置を用いて、組織損傷に伴う出血、浮腫、筋の痙攣、疼痛などの悪影響を減少させる目的をもちます。救急処置におけるRICEの減速を受傷後、直ちに行うと、血管を収縮させ、また組織の代謝を低下させることにより、炎症や浮腫を最小限に抑えることができると考えられています。損傷組織を冷却することで局所の血行と代謝を減少させることは代謝産物の放出を抑制し、組織損傷の進展を最小限にすることができます。

皮膚から奥の組織には冷却効果は薄い。

一般的に用いられるのは市販の冷却パックや氷嚢、アイスマッサージ、クライオカフ、冷水浴などが考えられます。アイシングは冷やす際の温度や時間、範囲、選手の体格によって冷却作用の組織深達度が決まるとされ、冷却すると皮膚温は急速に低下しますが、より深い組織における冷却効果の指標となるわけではないこともわかっています。ある実験では、人体において氷嚢を20分間使うと20℃以上の皮膚温の低下を認めたとしていますが、ヒトの下腿を冷やした実験では1.7cmの深さでは4℃程度しか温度の低下がみられないという実験結果もあります。他の実験結果からみても、2cm以上の深い組織では温度変化は大きく起こらないという報告がほとんどです。

アイスマッサージのほうがより時間的効率がよい。

冷却方法としては、目的とする組織の深さと大きさによって選択していくことになります。膝蓋腱などの小さな範囲であれば、アイスマッサージを行い、広い範囲の場合は渦流浴などを用いたほうがいいとする論文もあります。ある研究では、アイスマッサージと氷嚢の両者が筋肉内の温度を下げるのに有効であると証明しており、アイスマッサージのほうがより時間的効率がよいと報告しています。目的とする組織が小さい範囲の場合、疼痛や炎症を抑える目的でアイスマッサージを選択することがより効果的な方法ということなんですね。ケースバイケースでの冷却方法を選択することが必要です。

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