筋シナジーと運動の協調

運動を正確に遂行するためには、目的の筋の他に、意図しない動きを抑制する筋も活性化させる必要があります。

これは神経系が我々の意思とは無関係に働くことにより達成されます。

例えば、肘の屈筋は、肘関節を軸に前腕を回転させるために用いられますが、ここで手を固定する筋が働かないと、前腕の回転につられて手部も手関節で回転することになってしまいます。

多くの場合、筋は骨の運動軸に対して少しズレて付着しているため、軸回りに生まれる回転は一つ以上起こります。

そのため、ひとつの動きが不要だと判断されると、神経系は他の筋を動員し、望まない動きを抑制させなければなりません。

こうした複数の筋活動によるバランスを筋シナジーとよび、運動はこれらのシナジーを協調させることによって引き起こされます。

さらに筋電図を用いた研究によって多くの運動は約5個の筋シナジーにより制御されていることが示唆されています。

また、運動の速度によっても参加する筋の数が異なり、例えば、肘屈曲による負荷の持ち上げでは、ゆっくりした持ち上げは屈筋のみが、素早く持ち上げ素早く止めるような運動では、屈筋と伸筋の両方を活動させなければなりません。

これは運動速度が増すと、神経系が制御しなければならない要素、他の身体部位の不要な加速度が加わるためであり、身体部位が連結しているために、1つの部位の運動が別の部位の運動を引き起こすことが要因の一つとなります。

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