ボバースの正常姿勢制御機構
人間が地球で生活する以上、どのような活動を行っても、重力に対し反応する必要があります。
つまり、バランスを維持するため、重力との関係に応じて身体を調整しなければなりません。
この調節は、高度な運動や課題の遂行、あるいはバランスの乱れや転倒などに先行して起こるため、姿勢筋がまず活性化されます。
この制御は単なる、支持基底面内に重心がくるといった制御だけでなく、身体の各分節、あるいは身体全体と周囲の環境との関係を適切に維持するように制御されます。
この能力のことを、ボバースコンセプトで知られる、カレル・ボバースは「正常姿勢反射機構」として説明しました。
しかし現在では、実際には反射機構ではないことが分かっており、「正常姿勢制御機構」という言葉が用いられることが多くなっています。
この機構についてボバースは、いくつかの要素がこれを左右すると述べています。
ひとつは、筋の正常な緊張が必要であるということです。
身体は支え、重力に対抗して動くのに十分な強さの緊張が必要になります。
しかし、それは「運動を妨げない程度の強さ」でなければならないとしています。
次に、相反神経支配・相反抑制が重要であるということです。
これにより身体の一部を安定させ、他の部分を選択的に動かすことができます。
最後に、すべての人に共通する運動パターンが必要となります。
健常な脳の働きがあってこの正常姿勢制御機構が働き、これが巧みな運動の基礎になるといわれています。
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