神経系によるエネルギーの倹約

筋は運動に対していつもすべてが働いているわけではありません。

低レベルの力で事足りるような運動や課題には、単関節筋や小さな筋が主に働き、より大きな力が要求されると、必要に応じて大きな多関節筋が参加します。

これは神経系の戦略によるもので、「倹約」の意味を持ちます。

つまり神経系は、与えられた関節活動のコントロールを行う上で最小限の筋線維を活性化する傾向にあるということです。

例えば肘伸展の筋活性を考えてみると、低レベルの伸展を要する活動では、肘筋や三頭筋内側頭がその主役を担います。

活動がよりダイナミックに、またより大きな抵抗を受けるまでは、神経系は大きな三頭筋長頭を選択しません。

これはエネルギー消費の観点から実用的で理にかなっているといえます。

例えば低レベルの筋出力で肘を伸展位に維持しているとすると、三頭筋長頭が働いた場合には望まない肩伸展力を生み出してしまいます。

これを中和するためには、肩屈筋が働かざるをえません。

その場合、低レベルの運動だとしても、より大きな筋活動が必要になってしまいます。

これが単関節筋であれば、余分な筋出力は抑えられるというわけです。

このように、神経系は与えられた課題に対して、エネルギー消費を倹約するという傾向にあります。

一見当たり前のことのようですが、日常動作の評価などに有用な意味を持つでしょう。

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